RIDERS CLUB 2020年 11月号 掲載

Ducati STREETFIGHTER V4 R by MOTO CORSE
ドゥカティ最強最速のスーパーバイク「パニガーレ V4 R」をベースにしたバーハンドル & ネイキッド仕様がこの「ストリートファイター V4 R」だ。モトコルセが手掛けたそれは、正式なカタログモデルさながらの完成度を披露。それだけでなく、圧巻のパフォーマンスでサーキットを駆け抜けた。
PHOTO / S.MAYUMI | TEXT / T.ITAMI | 取材協力 / モトコルセ 046-220-1711 https://www.motocorse.jp/
右の走行画像をひとめ見て、違和感を覚える人はまずいないだろう。相当ドゥカティに詳しい人がじっくり見れば、マスターの形状やヘッドライトカバーのカラーリングが異なることに気づくかもしれないが、いずれにしてもストリートファイター V4にライトなカスタムを施した仕様だと思うはずだ。しかしながら、驚くべきことにベースになっているのはパニガーレ V4 Rである。レース参戦を前提としたホモロゲーションマシンのカウルを取り払い、セパレートハンドルに換装されているのだ。文字にすると甚だ簡単ながら、この大仕事をやってのけたのがモトコルセである。
マシンの概要は本誌前号でも紹介しているので併せてご覧頂きたい。モトコルセは以前、1199 パニガーレをネイキッド化し、それに「NVC / Nuda Veloce (ヌーダ・ベローチェ)」という名称を与えている。これはその再来を想定した最初の一歩であり、まずはコンプリートマシンとして送り出されることになった。走りのパフォーマンスはほとんど完成の域にある。最高出力221ps、乾燥重量172kgを公称するパニガーレ V4 Rが下敷きになっているのだからスペックに不足があるわけもないのだが、ストリートファイター V4 Rを名乗るにふさわしい抜群のフレキシビリティを披露。爆発的な加速力は維持されているどころか、実測の装備重量で8kgの軽量化(202kg → 194kg)に成功していることと、ドリブンスプロケットのショート化(42T → 44T)によって、さらに上乗せされている。
実際、コーナーから立ち上がった時の弾けるようなダッシュ力にはただただ圧倒される。コーナリング中はハングオフのフォームを取っているため、当然シートから身体をズラしているのだが、ひと度加速が始まると、それを元に戻すタイミングを逸するほどだ。フットペグを踏み込みながらハンドルに覆いかぶさり、身体をどうにか車体の上に留めているのが精一杯で、横Gが弱まってからようやく座り直す。バーハンドルと221psの組み合わせはそういう世界である。ただし、それ以外の領域はフレンドリーと表現しても差し支えない。特に車体がリーンし始め、フルバンクへ向かう時の手応えはしなやかそのものだ。パニガーレ特有の硬質さがまるでなく、荷重や面圧といったことを意識しなくとも、自在にラインを選べる。そこに一役も二役も買っているのがモトコルセ流のセットアップだ。サスペンションの減衰特性とバネレートがリセッティングされ、ハンドルやシートの形状を最適化。これらがもたらす手の内感が、ストリートでの快適性とサーキットでのスポーツ性を生み出している。サーキット由来の性能をストリートで引き出す。それがストリートファイターというジャンルの始まりだが、誰もが思い描く理想がここに詰まっている。
写真補足
1:一見、ベースがパニガーレ V4 Rとは分からない大人のカスタムだ。
2:カウルのペイントはコンプリートマシンをオーダーする時の標準メニュー。
3:STMの乾式クラッチにオリジナルのカーボンカバーを組み合わせる。
4:油圧式のプリロードアジャスターを備えるTTX36はモトコルセのオリジナル仕様。バネレートもソフトになっている。
5:BSTのカーボンホイール「Rapid TEK」を採用。これもコンプリート化の際の標準メニューだ。

メディア インフォメーション
RIDERS CLUB 2020年 11月号 掲載
ハンドリングのヤマハ……ヤマハのバイクは曲がる!
レースの世界では、そんな表現が使われるシーンが、以前から多く見受けられます。「フロントブレーキを思いっきりかけながらコーナーに進入できる」「ライバルが遅く感じるくらい、コーナーリングスピードにアドバンテージがある」ヤマハのバイクを知り尽くした元MotoGPライダー中野真矢は、そう語ります。中野真矢が、MotoGPマシンYZR-M1のテクノロジーをフィードバックし、サーキット性能を進化・熟成したヤマハのフラッグシップYZF-R1に試乗。さらにそのコンセプトを受け継ぐYZF-R25/R3にも試乗し、ヤマハハンドリングの秘密に迫ります。
気になるニューモデルを紹介するR/C IMPRESSIONでは、MVアグスタのドラッグスター800RR SCSに試乗しました。発進・停止時ですらクラッチレバー操作を必要としない、革新のスマートクラッチシステムを搭載したミドル3気筒。その乗り味をインプレッションしています。
最新カスタムマシンにも試乗しました。1台目は今話題の250㏄4気筒搭載モデル、カワサキNinja ZX-25Rを、ケイファクトリーが発売と同時にフルカスタム。フルエキゾーストだけでなく、ハンドル+ステップも変更されたZX-25Rを、宮城光が試乗しました。もう1台はモトコルセが、ドゥカティ最強最速のスーパーバイク・パニガーレV4Rをベースにネイキッド化した...
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