RIDERS CLUB 2020年 05月号 掲載

好きだから、こだわりたい

レースでは常識のタイヤウォーマーだが、その作りと性能は千差万別。カピットの温度管理へのこだわりは、プロにもホビーライダーにも大きな恩恵をもたらす。

タイヤを温める理由を深く理解し、とことん追求。

PHOTO / K.MASUKAWA | TEXT / K.ITOH | 取材協力 / モトコルセ TEL 046-220-1711 http://www.motocorse.jp/

スリックやレース用ハイグリップなど、ハイスペックなタイヤほど性能を発揮するためには、温度や空気圧の管理がシビア。そこで必要なのがタイヤウォーマー。モトGPや耐久レースの映像等で、走行直前までタイヤに巻かれているシーンでお馴染みだが、トップカテゴリーで高いシェアを誇るのが『カピット』だ。

タイヤウォーマーは、ものすごくザックリ言えば電気毛布と同じ構造で、電気で発熱する熱線が生地に縫い込まれている。そのため、どのブランドも大きな違いはないように思われるが、トップチームがカピットを選ぶのには理由がある。

それは徹底した温度管理。一般的なタイヤウォーマーは、サーモスタットと呼ばれる温度スイッチで、おおむね70~80℃の範囲で電源をオン/オフして温度を管理している。しかしこの方式は過熱と放熱を繰り返すため、当然ながらその時々で温度にムラができやすい。また、サーモスタットの動作精度やスイッチング限度回数、外部要因による故障など外観からは気付きにくい不具合が起こる可能性も否定できない。

対するカピットは独自の技術により、サーモスタットを使わない「継続加温型・恒温管理方式」。ヒートケーブル自体が温度管理を行い、電源を断続することなく一定の温度でタイヤを温め続ける。そのためタイヤ内圧の変動も起こさないのだ。コンセントに指すだけでタイヤの温度を正確に管理してくれるのは、忙しいレースの現場では便利。カピットではそんなダイレクトプラグイン(85℃固定)に加え、40~110℃まで1℃単位で設定できる一体型サーモコントロールの「ビジョン」と、プロユースの別体型サーモコントロールの「レオ」もラインナップする。(スープレマ、マキシマ、ファクトリーの各グレードに用意)。

…とはいえ、一般ライダーはレースなんてしないから関係ないと感じる方も多いはず。しかしサーキットのスポーツ走行はどうだろう? タイヤの温めはタイムを競うためだけでなく、転倒回避にも極めて重要。だから高性能なタイヤウォーマーは、ケガやマシンの破損を抑止するのに有効な投資なのだ。そしてワークスと同一の機材というのも、趣味人には嬉しい限りだ。

写真補足

Capit スープレマ : ホビーからプロライダーまでカバーするベーシックモデル。

ワンピース構造により価格を抑えたベーシックタイプだが、表層やヒートケーブルの品質、サーモスタットを用いない恒温管理方式は上級モデルと同じ。サイズ展開も4インチポケバイからMotoGPまでカバーし、8種類のカラー、ノーメックス耐熱仕様など豊富なラインアップを揃える。

Capit ファクトリー・レオ : MotoGPチームも信頼!同社の技術を詰め込んだハイエンドモデル。

タイヤへの密着性が高いマキシマの立体縫製 + 3ピース構造に加え、専用のヒートケーブルとレイアウトにより、スープレマやマキシマより早い加温性能と高い保温性能を発揮。別体のサーモコントローラーボックスやホイールラック等との組み合わせで、ピットやパドック内にタイヤウォーマーシステムを構築出来る。

Capit ファクトリー・ビジョン : 温度表示する一体型コントローラーで、機動性に優れたハイスペックモデル。

タイヤウォーマー本体にサーモコントローラーを内蔵するビジョンは、タイヤ表面温度を常時表示。設定温度に達してから10分経過した後はタイヤ表面温度と℃マークを交互に表示するのでタイヤの加温・保温状況を素早く把握することができる。


製品名温度調整価格税込
スマートダイレクトプラグイン (85℃)3万7400円~
スープレマダイレクトプラグイン (85℃)2万7280円~
スープレマ・ビジョン一体型デジタルサーモコントローラー(40~110℃)5万5880円~
スープレマ・レオ別体型デジタルサーモコントローラー(40~110℃)14万6780円~
マキシマダイレクトプラグイン(85℃)7万7880円~
マキシマ・ビジョン一体型デジタルサーモコントローラー(40~110℃)10万8680円~
マキシマ・ビジョン一体型デジタルサーモコントローラー(40~110℃)10万8680円~
マキシマ・レオ別体型デジタルサーモコントローラー(40~110℃)17万2480円~
ファクトリー・ビジョン一体型デジタルサーモコントローラー(40~110℃)14万580円~
ファクトリー・レオ別体型デジタルサーモコントローラー(40~110℃)17万9080円~
購入後3年間(スマートは2年間)の保証付き

メディア インフォメーション

RIDERS CLUB 2020年 05月号 掲載

巻頭特集 : ■ 今年こそ乗りやすいバイクをつくる。 実は簡単、難しくないサスペンション・アジャスト

愛車にサスペンションの調整機構が付いているかも分からない……そんな方も今年はサスペンションにこだわってみましょう?サスペンションセッティングというと難しそうだし、自分には分からないかも……そう思うのは当然だし、そんな先入観からベテランでも躊躇しているのが事実です。だから、少し触っただけで「こんなに変わるの?」という驚きの変化があるのもあまり知られていないのです。まずは変化を感じるところからスタートすれば簡単。サスペンションの基本を紹介します。それにライテクの悩みも実は大半はサスペンションの調整で解決できるものばかり。ノーマルが正しいとは限りません。ライダーとバイクの距離をグッと縮めてくれ、走りを変えてくれるサスペンションに入門してみませんか?

●マスターピース研究室 サスペンション

巻頭特集からの流れでマスターピースもサスペンションを研究します。リプレイスサスペンションとノーマルサスの違いや、サスペンションの部品構成、さらにオーバーホールの重要性など精密機器だけに研究材料も豊富。さらにリプレイスサスペンションのインプレッションや製品紹介も掲載します。

●R/Cインプレッション 春のニューモデル一気乗り!|・DUCATI PANIGALE V2...

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