RIDERS CLUB 2020年 04月号 掲載

好きだから、こだわりたい

もっと上を体験したい、良いモノを知りたいという想いを純粋に育む。フルカスタムを施したパニガーレを駆る23歳のライダーがいる。

上が知りたくていちばんカッコ良いバイクを選んだ。

PHOTO / K.MASUKAWA | TEXT / K.ITOH | 取材協力 / モトコルセ TEL 046-220-1711 http://www.motocorse.jp/

1299 PANIGALE S OWNER 岡本俊樹さん

80年代初頭は大ブームゆえにバイクは子供の乗り物と揶揄されたりしたが、現在ではすっかり「大人の趣味」と認識されている。それ自体は良いことだが、若いライダーのあまりの少なさに、バイクの未来に寂しさを感じるのも事実。…が、そんな不安を払拭してくれる若手ライダーも存在する。23歳の岡本俊樹さんもそのひとりだ。

岡本さんは16歳でバイク免許(普通二輪)を取得。子供の頃からクルマなどの機械が好きで、自転車にも相当ハマった経緯から免許を取れる年齢になったから乗るというのは自然な流れだったというが、じつはお父さんの影響も大きい。現在はバイクに乗っていないが、お父さんもかつてはホンダのフラッグシップCB1100Rに乗るライダーだった。クルマ趣味に転向し、幼い息子を乗せて良く走り回ったという。免許を取った岡本さんが乗ったのはカワサキのニンジャ 250で、ここは順当な選択。そして大学生だった18歳の時に大型二輪免許を取得。「上があるなら乗ってみたい」という息子の想いに『どうせ乗るなら良いモノに乗ってみろ』とお父さん。そして初大型バイクとして19歳になったばかりの彼の元に納車されたのはなんとドゥカティ 1299 パニガーレ Sだった。「国内外のスーパースポーツはひと通り調べたのですが、パニガーレを選んだのは見た目に惚れ込んだからです。初めて乗ったときはスロットルのツキの良さに少し戸惑いましたが、ワインディングに行ったら運転が上手くなったんじゃないかと思うほど楽しく乗れました。自分に合っていたんでしょうね」という。

岡本さんのパニガーレは、ご覧のようにフルカスタムだが、一気にここまで来たわけではない。モトコルセ ムゼオのスタッフと打ち合わせを繰り返し、3年以上かけて自身の理想に近づけた。その熱意をアピールするかのような外装はすべてモトコルセのドライカーボン製で、カーボン地を残したグラフィックは、岡本さん自身がデザインしたという。さらにホイールはマグネシウム鍛造、チェーン&スプロケットも520サイズに換装したので、押し引きするだけでも軽さは格別。

「じつは後輪をSTDの55扁平から60扁平に変えてみたんです。最近はエアボリュームが多いハイトが高いタイヤがトレンドじゃないですか」…こんなマニアックな発言をする岡本さんのような若手ライダーが増えれば、バイクの未来も安心だ。

写真補足

ディスクローターは前後ともAlthに換装。ホイールはマグネシウム鍛造のマルケジーニ M9RS Corsa。一見気付きにくいが、フロントのカーボンフェンダーはダクトが装備されたパニガーレ V4用を装備している。

トップブリッジはモトコルセのCNCアルミビレット。ブレーキ / クラッチマスターシリンダーは削り出しのブレンボレーシングを装備して、レースライクなコクピットに仕上げている。

ペグ・ペダルともにエキセントリックでポジションを変更できるモトコルセのライディングステップ。ペグはグリップの良いラジアルブロックに換装。リアサスのリンク及びロッドも同社のCNCビレットを装備している。

テールカウルにスマートにフィットするドライカーボン製のコンパクトライセンスプレート。小振りでシャープなデザインのLEDブリンカーもセットされる。

メディア インフォメーション

RIDERS CLUB 2020年 04月号 掲載

●巻頭特集 「速く」よりも「上手く」なるライテク Vol.11

昔のバイクと今のバイク乗り方は変わる!?

最新のバイクは凄まじい進化をしています。ハイパワー&軽量化はもちろん、信頼性もアップ! さらに電子制御を搭載したりと、ひと昔前のバイクにはない装備や機能を味わうことが可能になりました。特にインジェクションや電子制御は大きく進化。キャブレター時代はもちろん、初期のインジェクション時代にはなかった緻密なセッティングが施されています。最近、本誌で提案している「低い回転から大きくスロットルを開けてトラクションを稼ぐ」乗り方は、果たして古いバイクにも通用するのか?確かに本誌でのスロットルを開け始める推奨回転数が時代によって少しずつ変わっているのも事実。そこで今回は、1989年式のカワサキGPZ900R NinjaとBMW S1000RRを乗り比べて、その乗り方が変わるのか?を検証していきます。

●R/C IMPRESSION

・DUCATI PANIGALE V4S もっともMotoGPマシンに近い市販車

2020年モデルは電子制御を一新し、カウリングには大きなウイングを装備し、フレームと車体周りを大きく変更したパニガーレV4S。そんな2020年モデルのパニガーレV4Sのワールドローンチが中東のバーレーンで開催され、編集長の小川が参加してきました。ひとつめのコーナーから感じられるその違いは、これまでの...

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