RIDERS CLUB 2021年 5月号 掲載
好きだから、こだわりたい
世界限定500台で発売されたドゥカティの究極のスポーツバイク スーパーレッジェーラを、さらに戦闘的に仕上げた珠玉の一台 MOTO CORSE COMPLETE CUSTUM V4 SLC
PHOTO / K.MASUKAWA | TEXT / T.YAMASHITA | 取材協力 / モトコルセ TEL : 046-220-1711 https://www.motocorse.jp/
バイクの歴史において、レースでの成績や活躍が市販車の販売台数に結びつく現象は必然であった。ドゥカティは、50年代よりレースシーンで名を馳せるようになり、70年代に入るとその地位を不動のものとしてきた。レースと市販車の関係性がこれほど密接しているマニュファクチャーはドゥカティをおいてほかにないだろう。
スーパーレッジェーラの日本語訳は「超軽量」。なんと単刀直入なネーミングだろうか。そのV4エンジンはSBKのレギュレーションに合致する998ccで、レース仕様マフラーの装着で234psを叩き出す。
メインフレームとスイングアームは、カーボンとアルミのハイブリッド。ホイールとサブフレームはカーボンで作られ、乾燥重量は159kg。それがドゥカティ・スーパーレッジェーラというマシンの概要である。ただでさえ特別な存在のバイクをモトコルセがさらにブラッシュアップしたのが、『V4SLC』である。手を入れた部分はフロントサスペンション、ブレーキシステム、クラッチマスターシリンダーだ。
フロントフォークは純正同様にオーリンズ製だが、ホモロゲーション取得のために装着されていたストックを、SBK仕様となるFGR300へ換装。フロントフェンダーとABSセンサーのサポートとアクスルシャフトは、モトコルセがオリジナルで製作した。リアサスペンションは標準装備のTTX36だが、純正チタンスプリングはスリックタイヤでサーキットを走るためのハードなセッティングで、街乗りには向かない。そこでスチール製のソフトな物に交換し、チタン色に塗装している。
ブレーキシステムも換装しており、ブレンボ製マスターシリンダーとモノブロックキャリパー・P4-34 / 38に加え、SICOM製セラミックフローティングディスクを装着。カーボン製レバーとアルミ製リザーバータンクなどはモトコルセが独自に製作した。これらのカスタマイズにより、V4SLCはまさしくSBK仕様のロードゴーイングレーサーとなり、世界の頂点を目指すマシンとしての真価を発揮する。
究極のスポーツマシンだからこそ、細部にまでこだわり、きっちりと再現したい。レプリカではない本物のレーシングマシンを走らせたい。それがこの車両のオーナーの願望だろう。それを現実のものとして叶えるのがモトコルセの使命だ。マシンに対する情熱と知恵、技術が伴ってこそ成し得る偉業である。
スーパーレッジェーラの真骨頂を呼び起こす
CUSTOM PARTS
サスペンション | F=オーリンズ FGR300 SBK Φ43mm フルアジャスタブル |
サスペンション | R=オーリンズ TTX36 GPバルブ付 フルアジャスモノショック |
サスペンション | MOTO CORSE サスペンションセットアップ (スプリング交換) |
ブレーキ | F=BREMBO CNC ラジアルブレーキマスターシリンダー GPタイプ 19 x 18mm |
ブレーキ | BREMBO 108mm ピッチ CNC ラジアルモノブロックブレーキキャリパー P4-34/38 |
ブレーキ | MOTO CORSE / SICOM 320mm セラミックフローティングディスク MotoGP タイプ |
ブレーキ | R=BREMBO Moto3 CNC モノブロックキャリパー P2-34 |
ブレーキ | MOTO CORSE ラジアルブレーキマウントシステム |
ブレーキ | MOTO CORSE / SICOM Φ245mm T-drive フローティングブレーキディスク |
クラッチ | STM EVO-SBK スリッパークラッチ |
クラッチ | BREMBO CNC ラジアルクラッチマスターシリンダーGPタイプ 16 x 19mm |
CNCパーツ | MOTO CORSE CNC アルミニウム ラジアルブロック スクエアエッジコンセプト フットペグセット |
CNCパーツ | MOTO CORSE CNC アルミニウムフロントフェンダー / ABS センサーサポート |
CNCパーツ | MOTO CORSE CNC チタニウムフロントホイールアクスルシャフト |
CNCパーツ | MOTO CORSE CNC アルミニウムフルードリザーバー |
プロテクション | MOTO CORSE チタニウムプロテクションスクリーン ラジエター |
プロテクション | MOTO CORSE チタニウムプロテクションスクリーン オイルクーラー |
カーボンパーツ | MOTO CORSE コンパクトライセンスプレートサポート |
カーボンパーツ | MOTO CORSE ライセンスプレートベース |
カーボンパーツ | MOTO CORSE カーボンハーフレバー / ショートストレート Cタイプ |
車両価格 | 1820万円 |
写真補足
1:リアサスペンションユニットはストックのオーリンズ製TTX36 GPバルブ付きをそのまま装着しているが、モトコルセが再セットアップを施し、スプリングを換装してより適切な減衰力を確保している。
2: ライセンスホルダーはモトコルセのカーボン製に換装。スーパーレッジェーラのスタイリッシュさをより洗練させている。
3:フロントブレーキキャリパーは、ストックのブレンボ製スタイルマRから、より高性能な108mmピッチのラジアルモノブロックP4-34/38へ換装。SICOM製セラミックフローティングディスクと相まって、制動力とコントロール性をいっそう高めている。
4:ステップはモトコルセ製CNCアルミニウムラジアルブロックスクエアエッジコンセプトフットペグセットを装着。このほかにラジエターとオイルクーラーにモトコルセ製チタニウムプロテクションスクリーンをセットし、スーパーレッジェーラの質感をより深めている。
メディア インフォメーション
RIDERS CLUB 2021年 5月号 掲載
巻頭特集は、安全、安心、ラクに曲がる「中野真矢のライン取り」です。
一般的に言われているコーナーでのライン取りの基本はアウト・イン・アウトですが、 意外とできていないライダーが多いのも事実。中野さんは「V字に近い、タイトなラインを目指したい」と語ります。V字ラインならコーナーをコンパクトに立ち上がれ、タイヤのグリップにも余裕が生まれるのです。それは速いだけじゃなく、結果的に「ラクに曲がれる」というメリットにつながります。そんなサーキットでのライン取りの基本を、中野真矢さんに解説していただきました。
第二特集は「KAWASAKIミドルスポーツ」。
扱いきれるパワーと、取り回しに優れた軽量ボディで、近年セグメント的にも充実しているミドルクラス。
カワサキも、並列2気筒エンジンを搭載したNinja650とZ650、並列4気筒エンジンを搭載したNinja ZX-6Rをラインナップしています。
さらにメグロブランドを復活させたMEGRO K3も登場。いま最もホットな、カワサキのミドルクラスに注目します。
ニューモデルでは、DUCATIムルティストラーダV4 Sに中野真矢さんが試乗。待望のV4エンジンを搭載したムルティストラーダが、いよいよ日本初上陸を果たしました。ボッシュがバイク用に新開発したレーダーセンサー「クルーズ・コントロール、死角検知」も解説します。
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