RIDERS CLUB 2021年 5月号 掲載

ビモータ BB3CR SBK レプリカ コンプリート カスタム by モトコルセ

bimota BB3CR SBK Replica Complete Custom by MOTO CORSE

PHOTO / K.OHTANI, S.MAYUMI TEXT / T.TAMIYA 取材協力 / モトコルセ TEL 046-220-1611 https://www.motocorse.jp/

中野真矢、たぎる!

シリーズの生産台数が26台という、超希少なBB3。

その中でもわずか数台の限定だったBB3 SBKにモトコルセが垂涎パーツの数々を組んだのがこのマシン。百戦錬磨の中野真矢さんでさえ、その走行性能に大興奮!

いつもより長めの試乗を終え、ようやくピットに戻ってきた中野真矢さんは開口一番、やや興奮気味にこう話し始めた。

「いやあ、ちょっと驚きました。これはもう、完全にレーシングマシン。エンジンの振動とか、タイヤのフィーリングとか、そういうすべてのモノがダイレクトに伝わってきます。僕はレーサーとしての現役時代、こういうのに乗り慣れてきたので、懐かしいというか、久しぶりに味わう感覚です!」

BB3は13年秋に行われたEICMAで初めて披露された。前年に発表されたコンセプトモデルのBB2に次いで、BMW製エンジンを搭載したビモータとしては3台目となるモデルである。発売が開始された14年には、ホモロゲーションに対する猶予期間をもらいながら、スーパーバイク世界選手権のEVOクラスに名門のアルスターレーシングとタッグを組んで参戦。エンジンの改造や年間使用基数などが厳しく制限されたこのクラスで、BB3はカワサキやドゥカティと互角の戦いを繰り広げたが、結局のところホモロゲ台数をクリアできず、後に全線失格扱いとなった。この当時、ホモロゲ承認申請時に必要な生産台数は125台だったが、エンジン購入資金などの問題から、最終的に26台しかBB3を生産できていない。驚くほど足りていなかった…のだ。

SBK。こちらはおそらく、世界に5台前後しかないと推定される。今回、中野さんが試乗したBB3CR SBKレプリカは、その激レアマシンをモトコルセがさらにチューンした、究極のコンプリートである。

スーパースポーツでは市販車に対してまるでレーサーのようという常套句があるが、中野さん曰く「そういうバイクとは比較にならないほどのレーサー感」とのこと。

「例えば発進時には、乾式クラッチ化による難しさも感じるのですが、そういう部分すらワクワクしてきます。そしてコースの上では、いくらでも攻めていける気になります」と言うから相当な代物だ。

S1000RR用の水冷並列4気筒エンジンは、モトコルセによりピスタルレーシング製の鍛造ハイコンプレッションピストンを組むなどのチェーンも施されている。

「だからエンジンは、BMWらしくないというか、スパルタンな雰囲気。ヘアピンの立ち上がりで4000回転とかでもついてくるのですが、その上のパワーバンドがものスゴくて、なるべくおいしい回転を維持したい…と思い始めると、今度はけっこう神経を使います。そういう部分にも、久しぶりに興奮しました」

そして中野さんは、こう結んだ。

「これ、レースに参戦しても全日本ならソコソコの順位、走れちゃうんじゃないですかねぇ。もしもあと20歳若かったら、『今年のマシンはこれで』と即答していたかも…」

写真補足

モノコックシートボディも含め、フェアリングはフルカーボンファイバー製。塗色はBB3 SBKの出荷状態を保つ。

フロントフォークはオーリンズ製レーシング要FGRシリーズ。キャリパーはブレンボ製のレーシング仕様、ディスクは放熱性に極めて優れるアルト製ベンチレーテッドディスク SUPER VENTに換装。

1 : メーターは生産当時のS1000RR用を使うため、指針式回転計のパネルには「RR」の文字が飾られる。ステム上に換装されたモトコルセオリジナルのスマートフォンホルダーが、このマシンで唯一の心和むポイント。…かも。

2 : BMWの水冷並列4気筒エンジンは、モトコルセによりシリンダーヘッドチューニングや、鍛造ハイコンプピストンの採用が施されている。クラッチはモトコルセが取り扱うSTM製のドライクラッチコンバージョンで乾式クラッチ化してある。

3 : リアブレーキキャリパーは、本来はMoto3マシンがフロント用として使うブレンボ製のレーシングラジアルマウントCNCモノブロックタイプに。

4 : 鋼管トレリスフレームは、オリジナルの状態ではブラックだが、車体を一度全バラしてフェアリングと同色のオレンジに塗り替えられている。

SPECIFICATIONS

エンジンBMW製水冷4ストローク 並列4気筒DOHC4バルブ
総排気量999cc
ボアxストローク80.0 x 49.7 mm
圧縮比NA (STDは13.0:1)
最高出力NA (STDは200ps / 13000rpm)
最大トルクNA (STDは118Nm / 9750rpm)
変速機6段リターン
クラッチ乾式多板
フレーム鋼管トレリス + CNC アルミサイドプレート
キャスター / トレール25°00' / NA
サスペンションF=オーリンズ製 FGR SBK Φ43mm R=オーリンズ製 TTX36
ブレーキF=アルト製 Φ320mm ダブルディスク + ブレンボ製 レーシングラジアルマウント CNC モノブロック4ピストンキャリパー / R=アルト製 Φ220mm シングルディスク + ブレンボ製 レーシング2ピストンキャリパー
タイヤサイズF=ピレリ製 ディアブロスーパーコルサ SP 120/70ZR17 / R=ピレリ製 ディアブロスーパーコルサ SP 200/55ZR17
全長 x 全幅 x 全高2075 x 730 x 1180mm
ホイールベース1430mm
シート高NA (STDは820mm)
車両重量NA (STDは195kg)
燃料タンク容量16L
価格1590万280円

メディア インフォメーション

RIDERS CLUB 2021年 5月号 掲載

巻頭特集は、安全、安心、ラクに曲がる「中野真矢のライン取り」です。

一般的に言われているコーナーでのライン取りの基本はアウト・イン・アウトですが、 意外とできていないライダーが多いのも事実。中野さんは「V字に近い、タイトなラインを目指したい」と語ります。V字ラインならコーナーをコンパクトに立ち上がれ、タイヤのグリップにも余裕が生まれるのです。それは速いだけじゃなく、結果的に「ラクに曲がれる」というメリットにつながります。そんなサーキットでのライン取りの基本を、中野真矢さんに解説していただきました。

第二特集は「KAWASAKIミドルスポーツ」。

扱いきれるパワーと、取り回しに優れた軽量ボディで、近年セグメント的にも充実しているミドルクラス。

カワサキも、並列2気筒エンジンを搭載したNinja650とZ650、並列4気筒エンジンを搭載したNinja ZX-6Rをラインナップしています。

さらにメグロブランドを復活させたMEGRO K3も登場。いま最もホットな、カワサキのミドルクラスに注目します。

ニューモデルでは、DUCATIムルティストラーダV4 Sに中野真矢さんが試乗。待望のV4エンジンを搭載したムルティストラーダが、いよいよ日本初上陸を果たしました。ボッシュがバイク用に新開発したレーダーセンサー「クルーズ・コントロール、死角検知」も解説します。

...

詳細・ご購入はこちら

Back Number