RIDERS CLUB 2021年 09月号 掲載
好きだから、こだわりたい
TESI最後のLツイン bimota TESI 3D NAKED FINAL EDITION
ビモータはさまざまなメーカーのエンジンを、独自のフレームに搭載してきた。
中でもその美しさが際立っているのは、やはりドゥカティのLツインだろう。
PHOTO / H.ORIHRA TEXT / T.YAMASHITA / モトコルセ TEL O46-220-1611 https://www.motocorse.jp/
カワサキ傘下となって以降、ビモータが発売したのはカワサキ製スーパーチャージド直4エンジン搭載のマシンのみだ。もちろんテージH2の設計思想や走行性能は独創的で、カワサキとビモータにしか作りえない傑作である。ZX10RやZ900などの直4エンジンを搭載したKBの登場にも期待がかかる。とはいうものの、イタリアンスポーツマシンの傑作を生み出してきたドゥカティとのコラボレーションによるDBシリーズ、そしてドゥカティ製エンジンを搭載してきたテージシリーズは、さらに傑出した存在だ。その最後を飾るマシンが、ここで紹介する『テージ3Dネイキッドファイナルエディション」だ。
テージ3Dネイキッドの大きな特徵がハブセンターステアリングであることは間違いないが、ベースとなったテージ3Dとの相違点は、フロントサスペンションをカンチレバー式にしたことと、アップハンドルによる安楽なライディングポジションに加えてビポスト(二人乗り)としているところ。それらがこのマシンの個性的なディテールだ。
ネイキッドバージョンに限らず、テージ3Dオーナーの多くは「サーキットで走らせても面白いバイクだが、一般公道で走らせてこそ真価を発揮する」と語る。ハブセンターステアリングの特性は、ブレーキングにおけるノーズダイブが圧倒的に少ないことだが、それに加えてビモータならではの軽い車体と鋭いリーン性能を持ちつつ、走行安定性にも優れている。それが前述したオーナー諸氏のインプレッションにつながっているのだろう。
オメガフレームとクロモリ鋼管パイプを巧みに組み合わせたシャシーは、剛性と軽さを両立しただけでなく、他のマシンにはない美しさがある。空冷Lツインを搭載したからこその乾燥重量170)という軽さとスリムさは、最高出力でのパワーとのバランスもいい。ドゥカティのLツインエンジンを搭載したテージとして熟成しており、完成形といえる仕上がりだ。
ドゥカティとビモータは、イタリアのバイクマニュファクチャーのなかでも独自の技術とたゆまぬ情熱でマシンを進化させてきた。その両雄の結晶であり珠玉でもあるテージ3Dネイキッドは、有終の美を飾るにふさわしいスペックと美観を備えている。ビモータファン、そしてドゥカティファンにとっても貴重な存在であることは明白だ。
日本への輸入はおよそ10台とのことで、残りわずかだがモトコルセにはまだ販売車両があるという。この姿をその目に焼きつけておくだけでも価値のあるマシンだ。
SPECIFICATIONS
エンジン | Ducati 製空冷 L型 2気筒 デスモドコミック 2バルブ |
総排気量 | 1078cc |
ボア×ストローク | 98×71.5mm |
圧縮比 | 11.3:1 |
最高出力 | 98hp/7750rpm |
最大トルク | 9.7kgf・m/6750rpm |
変速機 | 6速 |
クラッチ | 湿式多板セルフサーボ&スリッパークラッチ |
フレーム | CNC アルミニウムオメガプレートフレーム |
キャスター | 23° |
サスペンション | F=オーリンズ製 TTX36フルアジャスタブルモノショック 車高調整機能付き / R=オーリンズ製 TTX36フルアジャスタブルモノショック 車高調整機能及び油圧式スプリングプリロード調整機能付き |
ブレーキ | F=Φ320mm ダブルディスク + ブレンボ製 P4-34 / R=Φ220mm シングルディスク + ブレンボ製 P2-32 |
タイヤサイズ | F=120/70ZR17 / R=180/55ZR17 |
全長×全幅×全高 | 2100×700×1120mm |
ホイールベース | 1390mm |
シート高 | 800mm |
車両重量 | 170kg(乾燥) |
燃料タンク容量 | 16L |
カラー | ホワイト×ブラック×レッド |
価格 | 547万8000円 |
写真補足
前後サスペンションはどちらもカンチレバー式を採用するとともに、オーリンズ製TTXモノショックユニットを装着する。もちろんフルアジャスタブルで、リアは車高調整機能も備える。走行安定性に大きく寄与し、ハブセンターステアの性能を最大限に引き出す。
1 : アルミを削り出して製作されるオメガプレートフレーム。TESI3Dのアイデンティティのひとつだ。
2 : ファイナルエディションであることを示す、シリアルナンバー付きのプレート。45台の限定生産だ。
3 : アップライトな乗車姿勢を作り出すバーハンドルを装備。
4 : フロントのブレーキキャリパーはブレンボ製Stylemaを備える。
メディア インフォメーション
RIDERS CLUB 2021年 09月号 掲載
「Vツインはトラクションを感じて走る」
ドゥカティのモンスター+とスーパースポーツ950Sに中野真矢さんが試乗しました。
巻頭特集は「Vツインはトラクションを感じて走る」です。
ドゥカティのVツインエンジンを搭載したニューモデル、モンスター+とスーパースポーツ950Sに中野真矢さんが試乗しました。
ついにトレリスフレームを脱ぎ去り、新たなフェーズへと突入したモンスター+。対してスーパースポーツ950Sは、スーパーバイク系の意匠を受け継ぎブラッシュアップ。どちらも現代のスポーツバイクでは、ハイパワーとは言えない110psほどの最高出力ですが、元MotoGPライダーの中野真矢さんをもってしても「簡単なエンジンではない」とのこと。「難しいからこそ面白い」とも語る中野真矢さんのVツイン論と、この2台を乗りこなすためのテクニックを、それぞれのインプレッションとともに掲載。合わせて、歴代モンスター&スーパースポーツの進化の歩みも掲載しました。
続いてお届けするのは、元ヤマハファクトリーライダー難波恭司さんによる、ヤマハニューMTシリーズ一気試乗。MT-09 ABS、MT-09 SP ABS、トレーサー9 GT ABS、MT-07 ABS この4台を、ヤマハレーシングマシンの開発ライダーも務めた鋭い目線で分析してもらいました。
難波恭司さんと中野真矢さんはヤマハファクトリーの先輩後...
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