RIDERS CLUB 2021年 1月号 掲載

STM WET SLIPPER CLUTCH

操る悦びを喚起するダイレクトなタッチ

「スリッパークラッチでお馴染みのブランド「STM」からドゥカティ・パニガーレ V4とストリートファイター V4用の製品がラインナップされ、テストする機会を得た果たしてノーマルのそれとは異なるのだろうか?」

PHOTO / S.MAYUMI, T.OHTANI | TEXT / T.ITAMI | 問 / モトコルセ TEL :046-220-1611 http://www.motocorse.jp/

2ストロークさながらのリズミカルなシフトダウンを実現

ドゥカティに限らず、スリッパークラッチは大半のスーパースポーツに標準装備されている。システムやその制御の度合いに程度はあるものの、過度なエンジンブレーキを逃がし、特にシフトダウン時の安定性を高めるための機構だ。パニガーレ V4や、同系のエンジンを搭載するストリートファイター V4にももちろん採用されており、おそらく多くのライダーが特に不満を感じることなく使っているのではないだろうか。

それゆえ、「STMにしたところで違いがあるのか?」という疑問があるかもしれない。

それはテスト車両を前にした私自身(伊丹)の思いでもあったわけだが、実際のところノーマルとSTMの差は歴然だった。STM装着車は入力に対するレスポンスが明瞭で、ひと言で言えば素晴らしく心地よかったのだ。その効果はギアを一速に入れ、発進させる時から始まっている。クラッチの切れとつながりがダイレクトに感じられ、リアタイヤの蹴り出しがクリアに伝わってくる。真骨頂は、もちろんシフトダウン時のフィーリングだ。特に高回転域から連続してギアを落としていく時の滑らかさはノーマルとはまったく異なる。体感的には2ストロークに近く、無造作に操作しても車体の挙動は乱れない。結果的にブレーキングに集中することができるのだ。これに慣れると、ノーマルはギアが切り換わる間にわずかながら空白があるように感じられ、まどろっこしい。車体との一体感は断然STMに分があり、操る楽しみを引き出してくれてりることがわかる。

クラッチレバーの操作力はやや重くなるが、ドゥカティ本来のスポーツ性と引き換えるためだと考えれば惜しくはないだろう。価値あるツウなカスタマイズだ。

湿式スリッパークラッチ

適合車種 :Ducati パニガーレ V4 / Ducati ストリートファイター V4 || 価格 14万800円

純正のクラッチプレートやバスケットを流用し、装着には加工を必要としない。高いアベレージスピードでも車体の挙動が安定し、エンジンに対する負荷も軽減。耐久性や耐摩耗性に優れる。

写真補足

上 :プライマリスプリングとセカンダリスプリングには異なるレート設定があり、エンジンチューニングの度合いや好みの作動タイミングに応じて調整可能。

下 :スリッパーカムにはジェラルミンにスチールパーツを圧入したハイブリットカムを採用し、滑らかな動作と耐久性を確保している。

メディア インフォメーション

RIDERS CLUB 2021年 1月号 掲載

第一特集はライダースクラブのキラーコンテンツ、ライディングテクニック。元MotoGPライダーの中野真矢さんと青木宣篤さん直伝「リアブレーキの使い方」です。

ロードレースの最高峰MotoGPでは、深くなったバンク角により右脚でのペダル操作が難しくなったこと、更にはより繊細な操作を求めて、左ハンドル側にレバーを追加して親指でリアブレーキを操作するまでになってきています。スポーツライディングにおいて、それほどまでに重要視されるリアブレーキ。現役時代からリアブレーキを多用してきたという中野真矢さんと青木宣篤さんを講師に迎え、コーナーへのアプローチ~旋回~立ち上がりまで、リアブレーキの使い方をレクチャーします。

第二特集は、「国産250㏄スポーツ一気乗り」です。新開発の並列4気筒エンジンを搭載し、2020年のバイクシーンの話題を独占したカワサキNinja ZX-25R。迎え撃つべく、ホンダCBR250RRはマイナーチェンジでパワーアップして対抗してきました。扱いきれないハイパワーよりも全開にできる楽しさで、いま注目されている250㏄スポーツバイク。そこで、国産各メーカーのフルカウルスポーツを取り揃えて一気試乗。単純に比較するのではなく、ライダースクラブならではの視点で、各車の良さを引き出しています。

ニューモデルの試乗インプレッションは、BMW R18をお届け。水平対向2...

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