RIDE HI 2020年 11月 創刊号 掲載

止まらぬ探究心

Super Light Weight DUCATI Panigale V4 R Works by MOTO CORSE

1万4,000回転を超えても怒涛のレスボンスで回転上昇するデスモドローミック。市販車とは思えないパワーを、超高機能パーツを高次元でバランスさせたシャシーが支える。モトコルセの知見と技術が、天性のアスリートをさらに鍛え上げた。

文 / 伊藤 真 | 写真 / 折原弘之 | 協力 モトコルセ https://www.motocorse.jp/

制限なく追求した。スポーツバイクの究極

市販車をベースとするWSBレースに参戦するために作られたホモロゲーションモデル。ドゥカティは旧くから、いわゆるベース車両ではなく、本気で勝つためのホモロゲーションモデルを市場に投入してきた。その最新マシンが「パニガーレ V4 R」だ。そんなV4 Rには、当然ながらレースのレギュレーションによって車両価格や装着部品に制限がかかっている。その頸木から解き放ち、純粋に走りのパフォーマンスを追求したのが、モトコルセが手掛けたこのマシンである。

エクステリアに変更がないので、一見するとライトカスタムかと思いきや、その足周りは驚異。ファクトリー級のレーシングマシンが装備するフォークやブレーキキャリパー。さらにはモトコルセとSICOM社のコラボレーションで生まれたカーボンセラミックのディスクローターや、軍事技術をも投入した超軽量で高強度のBST社のカーボンホイール等々、車体価格に迫るコストがかけられているが、果たしてその走りは…。

「そもそもV4 Rは、V4 Sと比較すると、かなりコンパクトなフィーリングだが、このマシンはいっそうコンパクト」と、筑波サーキット·コース1000を試乗した編集長·小川の第一声。「カーボンホイールとカーボンセラミックディスクのいま考えられる最も軽量な組み合わせが、そう感じさせる要因なのは間違いない。ブレーキはきちんと温まると求める制動力を発揮し、レーシングフォークはインフォーメーションが豊富だから、前輪のグリップを存分に引き出せる。このフロント周りの信頼感の大きさは特筆モノ。そんな秀逸なシャシーは、同時に車体重量を大幅に軽減するため加速力は凄まじく、ショートコースのコース1000だとストレートを一瞬で駆け抜けてブレーキボイントに到達。もはや市販車のレスポンスを遥かに凌駕する。

天性のアスリートが、徹底的に体を鍛え直した。とでも表現すれば良いのか、一分の隙もない」。うだるような真夏のコースをものともせず、水を得た魚のように周回を重ねる姿を見るだけでも、マシンとライダーの一体感の高さを伺える。純然たるスポーツバイクの究極に、限りなく近づいたコンプリートマシンがここにある。

写真補足

足周りに約400万円のコストをかけると…

フロントフォークはSBKマシンに採用されるオーリンズのFGR300に換装。フロントブレーキはモトコルセ / SICOM製のカーボンセラミックディスクに、ブレンボのCNCモノブロックキャリバーP4-34/38をセットする。

ブレーキ/クラッチともにブレンボの削り出しラジアル マスターに交換。フォールディングレバーはモトコルセのドライカーボンを装着。

上. プリプレグモノコックカーボンファイバーの5スリットスポークのホイールはBST社のRapid TEKを装着。超軽量な上に金属製ホイールを超える強度を持つ。

下. V4Rはノーマルでも最高出力221hpを誇るが、レースキットのアクラポヴィッチ製のドゥカティパフォーマンスのフルエキゾーストを装着すれば1万5,500回転で234hpを発揮!

1.トップブリッジは繊細な切削で大幅に肉抜きしたモトコルセのオリジナル。

2.フットペグをホールド性に優れるCNCラジアルブロック·ス クエアエッジに換装。球状のエンドは、靴裏の全方位に高いグリップ力を発揮。モトコルセの人気商品。

3. V4RはSTM製の乾式クラッチを装備するため、カーボン製オープンカバーに換装してアピール。

メディア インフォメーション

RIDE HI 2020年 11月 創刊号 掲載

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